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人間椅子

これまた狂気じみたお話、これ僕はかなり好きでした。

ざっと説明すると、ある家具職人の告白なのですが、彼は自分の容姿に強いコンプレックスを持っています。

そして女性に愛されたことのない彼は、ふとした思いつきから頼まれた椅子の中にスペースを作ってそこに潜んでホテルで盗みをするんですね。

しかし彼を魅了したのは盗みの成果ではなく、椅子の中の自分の上に腰掛ける人々との接触でした。

その描写のなんと生々しいことか。乱歩さんは本当に椅子の中に潜んでいたことがあるんじゃないんですか?笑

 

これはある女性に対して手紙での告白という形をとっているのですが、話はそこから気味の悪い方向へ進みます。

まあそこは予想通りなんですが、そのゾクゾク感はなかなかでした。オススメの一作!

 

しかしどんなところから着想を得たのでしょうね。

椅子に座るときにそんな妄想してたのかな。

それとも小さい子供を膝の上に乗せてた時とかにひらめいたのかな。

物語になりうることは日々の生活の中に転がっているのですねえ。

屋根裏の散歩者

主人公わしかよ!って感じの人物紹介から始まりますね。笑

ちょっと冒頭を引用してみましょうか。

多分それは一種の精神病ででもあったのでしょう。郷田三郎は、どんな遊びも、どんな職業も、何をやてみても、いっこうこの世が面白くないのでした。

わかるー。三郎君とは仲良くなれそうだ。いや、同族嫌悪で忌み嫌い合うか?笑

 

そんな三郎君、明智小五郎と出会うことで「犯罪」というものに興味を持ちます。

それから犯罪のまねごとみたいなことをしてしばらくは満足しているのですが、それもそのうち飽きちゃうんですね。

けれど僕と同じく小心者の三郎君には実際に犯罪をするほどの胆力はない。

 

そんなとき、ひょんなことから新居の下宿の屋根裏に出られることに気がつきます。

それから三郎君はその屋根裏を散歩することを趣味とし、下宿人のいろいろな秘密を覗き見る喜びを覚えます。

そしてある日、なんとなく嫌いな下宿人の部屋で、彼が穴の下で大きな口を開けて寝ているのを発見。

そして彼の部屋に数滴で致死量に達するモルヒネもあることを思い出す。

 

三郎君は別に殺したいほどこの下宿人のことを憎んでいたわけではないんですが、たまたまそこに完全犯罪を達成できそうな条件がそろっちゃったんですねえ。

そして彼はその考えを振り払うことができなかった。犯罪嗜好者だったんで。

そんなお話ですが、私の悪いところはやはりそこに自己投影してしまうところですねえ。

僕も、またはあなたも、自分の中に三郎君みたいな狂気を隠し持っているのかもしれませんね。

それが意識下にのぼらなくても、無意識に日々、頭の中で誰かを殺しているのかもしれません。