2019/3

幕を上げる

幕を上げる

幕を上げる  悦子へ  突然のお手紙に驚かれたことでしょう。私たちが連絡を取り会わなくなってから、ずいぶんと長い時間が流れたような気がします。けれど、実際にはたった数年。私たちが出会う前に流れた時間のほんの三分に一ほどでしかないのですね。私たちはたった一夏でお互いのことを一番信頼するようになったのですから、会わなかった...

わたうみの冒険

わたうみの冒険

今日は僕の好きだったアイドルが解散した日。 一年前、僕は大好きなあの子と「授賞式で再会しよう」 という約束をしました(僕の中では)。   そして今朝、一通の封筒が届きました。 ある小説賞の事務局からでした。   あなた様の作品は、今回惜しくも入選を逸しました。   ですよね。人生そうドラマ...

自由

自由

自由 自由という言葉は、たしか福沢諭吉が訳したんだっけ。自らに由る。 ところで、自らって、なんだろう。 それがわからないのに、どうして自由なんて言葉を好きになることができるのか。 そこら中にある自由。どんどん世界は自由になる。けれど、本当に? 自由という言葉の意味が、僕にはよくわからない。 安楽死についての小説を古市さ...

漂泊の日々

漂泊の日々

1  僕は何が気に入らなかったのだろう?何がおかしいと感じていたのだろう。もうあまりよく思い出せなくなっていた。この部屋に引きこもって大学へ行かなくなってから数ヶ月が経ったが、僕はあの心底嫌気がさした日々から逃げ出して、どれだけ素敵な時間を送ってきたというのだろうか。実際は、起きて、食べて、寝ての繰り返し。昨日の記憶も...

Return Top